「あいにくですが…」の正しい使い方とマナー例

ビジネスや日常の会話でよく耳にする言葉のひとつに、「あいにくですが…」という表現があります。

丁寧でやわらかい印象がある一方、使い方を間違えると冷たい印象を与えたり、誤解されたりすることも。特に職場やメールで使うときは、正しい意味とマナーを理解しておくことが大切です。

この記事では、「あいにくですが」の本来の意味、正しい使い方、ビジネスでの実例や注意点までを丁寧に解説します。

「あいにくですが」の意味とは？

「あいにく」とは、「ちょうどよくないこと」「不都合」「残念ながら」といった意味を持つ言葉です。

漢字で書くと「生憎」と表記されますが、日常では平仮名で使うことが一般的です。

「申し訳ないですが」「できません」「ありません」といった否定的な内容を、やんわりと伝えるために使われます。

つまり、「あいにくですが〜」は相手に対する配慮のこもったクッション言葉でもあるのです。

・在庫や商品がないことを伝えるとき
・面会や訪問の約束を断るとき
・依頼や申し出を丁寧に断るとき
・タイミングの悪さを詫びるとき

ビジネスシーンでもプライベートでも、何かを断る・対応できないことを伝える場面でよく用いられます。

あいにくですが、ただいま在庫を切らしております。
あいにくですが、〇日は先約があり、お時間をいただくことができません。

これらは、直接的に「ない」「無理」と言うよりも、やわらかく断る効果があります。

件名：ご依頼の件について

本文：
〇〇株式会社
〇〇様

いつも大変お世話になっております。
ご依頼いただいた件につきまして、あいにくですが現在対応可能な人員が不足しており、ご希望の期日に間に合わせることが難しい状況でございます。

何卒ご理解いただけますと幸いです。

→ 断りながらも、丁寧さと配慮をしっかり示している点がポイントです。

・あいにくですが、担当の者はただいま外出しております。
・あいにく本日はご予約でいっぱいでして、ご希望に添うことができません。

→ 直接的に「いません」「できません」と伝えるよりも、やわらかく印象がよい言い回しです。

「あいにく」を連発したり、前置きとして長々使うと、相手には「責任回避」の印象を与えることがあります。あくまで簡潔に、事実を丁寧に伝えるよう心がけましょう。

断る内容だけで終わらせず、代案やお詫び、感謝の言葉を添えるとより丁寧です。

例：
「あいにくご希望の日時にはご対応できかねますが、別の日程をご案内させていただきます。」

便利だからといって、どんな場面にも「あいにくですが」と入れると、やや事務的・冷たい印象になります。特にカジュアルな会話では避けるのがベターです。

状況によっては、別のクッション言葉に置き換えるとさらに柔らかい印象になります。